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次期戦闘機の日英伊共同開発にドイツが参加? 費用分担の利点か、2035年配備に遅れの不安か

日本・英国・イタリアが共同で開発している次期戦闘機(GCAP)に、ドイツが加わる可能性が出てきました。英国が前向きな姿勢を示し、ドイツ政府も検討を表明しています。開発費の分担や欧州との連携強化を期待する声と、開発の遅れや日本の役割の縮小を心配する声をまとめました。

英国の航空ショーで展示された次期戦闘機の実物大模型(2023年)
次期戦闘機の実物大模型(2023年・英国)写真:Mike Burdett from CROMER, UK / Wikimedia Commons(CC BY-SA 2.0)

この記事のポイント

  • 日本・英国・イタリアの3カ国は、航空自衛隊のF-2の後継となる次期戦闘機を共同で開発しており(GCAP=グローバル戦闘航空プログラム)、2035年の配備開始を目指しています。
  • 英国のバーナム首相は10月8日、ドイツのGCAP参加に「前向き」だとメルツ独首相に伝えました。ドイツ政府は9日、参加の可能性を検討していると明らかにしました。ドイツはフランスなどとの戦闘機の共同開発(FCAS)が6月に事実上頓挫しています。
  • 小泉防衛相は9日、「プログラムをより良いものにする観点から、英伊両国と連携して検討していく」と述べ、参加の是非は明言しませんでした。
  • 参加国が増えれば開発費の分担が軽くなる一方、ドイツは設計や開発に自国の意向を反映させることを望んでおり、開発の遅れを招く懸念も指摘されています。

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① 何が起きているのか

GCAPとは

日本・英国・イタリアの3カ国が共同で開発している次期戦闘機の計画です。航空自衛隊のF-2と、英伊のユーロファイター・タイフーンの後継として、2035年の配備開始を目指しています。

  • 2023年12月:3カ国の共同開発を管理する国際機関「GIGO」の設立条約に署名(2024年12月発効)
  • 2025年6月:英BAEシステムズ、伊レオナルド、日本企業の合弁会社「エッジウィング」が発足
  • 2026年7月:日本の防衛省が、GIGOとエッジウィングとの契約を2027年末まで延長したと発表。カナダが初のオブザーバー国として参加(開発や資金拠出には加わらない)

ドイツが関心を示す理由

ドイツは、フランス・スペインと次世代戦闘機の共同開発(FCAS)を進めていましたが、仏ダッソーと欧州エアバスの主導権争いなどで、2026年6月に戦闘機部分の共同開発が事実上中止されました。その代わりの選択肢の一つとして、GCAPへの参加が浮上しています。

武器輸出のルールとの関係

日本は2024年3月、次期戦闘機に限って、日本と協定を結んだ国への第三国輸出を認めました(現に戦闘が行われている国は除き、案件ごとに閣議決定)。2026年4月には、輸出できる装備を救難・輸送などに限っていた「5類型」が撤廃され、殺傷能力のある武器の輸出が原則可能になっています。

② それぞれの意見

各立場の主な主張を、元の発言や記事をもとに、当サイトがわかりやすくまとめています。

参加に前向きな立場の意見

  1. ドイツのGCAP参加に前向きです。パートナー国であるイタリアや日本と協力しながら、今後進めていきたいと考えています(英国のバーナム首相)。英国は自国の財政負担を軽くする観点から、ドイツの参加を歓迎していると報じられています。

  2. ドイツの産業力と資金力は、計画にとって産業面でプラスになります(伊防衛大手レオナルドのマリアーニCEO)。イタリアのクロセット国防相も「誰に対してもオープンだ」と述べ、参加国が増えるほど投資の規模を確保しやすくなるとの考えを示しています。

  3. 日本にとっても、欧州との防衛協力は、米国だけに頼らない「新しい実験」であり、リスクを分散する意味があるとの見方があります(政策研究大学院大学の岩間陽子教授)。

慎重・懸念する立場の意見

  1. ドイツは機体の設計や開発にドイツの意向が十分に反映されることを望んでおり、参加すれば開発の遅れを招く懸念があります。日本は「2035年配備開始」の目標を堅持したい考えとされます(産経新聞)。元航空自衛隊幹部からも、開発が遅れればF-2の後継に空白が生じかねないとの指摘が出ています。

  2. ドイツとフランスの共同開発が頓挫した最大の原因は、作業の分担(ワークシェア)で合意できなかったことです。ドイツが加われば各社の取り分が減り、合意づくりは複雑になります。ドイツは合弁会社の設立後に加わる「後発」でもあります(時事通信、軍事ジャーナリストの竹内修氏)。

  3. 参加国が増えれば、完成した戦闘機が第三国に輸出される可能性も広がります。殺傷能力のある武器の輸出拡大には、共同通信の世論調査で反対が57.2%と賛成を上回りました。中道改革連合・立憲民主党・公明党は、一定額を超える案件は国会への事前通知を義務づけるなど、歯止めの強化を求めています。共産党は「平和国家」の立場を投げ捨てるものだと批判しています。

ドイツ側の慎重論

  1. ドイツ政府は英国の呼びかけを「非常に好意的に受け止めた」としつつ、次期戦闘機では「欧州的な解決策」を目指し、国益も主張していくとしています(マイヤー副政府報道官)。ドイツ国内では、GCAPは海での運用を前提にしており自国の要求と合わないとして、スウェーデンなどとの別の枠組みを推す意見もあると報じられています。

背景を読む:それぞれの思惑

ここからは編集部の見立て(推測)です。裏付けはありませんが、推測のもとにした事実には出典を付けています。

英国

財政の苦しさが「前のめり」の背景?

推測GCAPの費用は大きく膨らんでいると報じられ、英国では予算不足で契約が遅れたこともありました。ドイツが加われば、英国の負担を軽くできます。英国がドイツ側より先に参加の可能性を口にしたのは、財政事情が背景にあるのかもしれません。

推測のもとにした事実

  • ・英国の予算不足でGCAPの契約が遅れ、費用はおよそ3倍に膨らんだと報じられたDefense News(3/11)
  • ・英国は自国の財政負担軽減の観点からドイツの参加を歓迎する立場とされる産経新聞(10/9)

日本政府

「費用」と「時間」のどちらを取るか

推測日本にとって、ドイツの参加は開発費を軽くする一方、作業分担のやり直しで2035年の配備に間に合わなくなるおそれがあります。防衛相が「英伊と連携して検討」とだけ述べて是非を明言しないのは、英国との関係を損なわず、日本の主導権も守るための慎重な言い回しとも読めます。10月末にはメルツ首相の来日が調整されており、首脳間でどう扱うかが注目されます。

推測のもとにした事実

  • ・小泉防衛相は「英伊両国と連携して検討していく」と述べ、ドイツ参加の是非は明言を避けた朝雲新聞(10/9)
  • ・メルツ首相は10月末に初来日し、高市首相と会談する方向で調整されていると報じられた熊本日日新聞(共同)

ドイツ

GCAPは「交渉カード」でもある?

推測ドイツでは、国内企業8社が独自の戦闘機開発を目指す連合をつくり、スウェーデンなどとの枠組みも検討されています。GCAP参加の検討を表明しつつ「欧州的な解決策」も強調するのは、複数の選択肢を並べ、どの枠組みでも有利な条件を引き出そうとする交渉術とも考えられます。

推測のもとにした事実

世の中の声

世論調査

  • ドイツのGCAP参加について聞いた世論調査は、確認できた範囲では見当たりませんでした。参考として、殺傷能力のある武器の輸出解禁について、共同通信の調査(2026年5月報道)では賛成37.1%、反対57.2%でした。

    山陰中央新報(共同通信世論調査)

SNSの反応

参加に前向きな立場寄りの声

  • ドイツが入るのは構わないけれど、配備のスケジュールは守ってほしい。今から作業分担をやり直すのではなく、後から加わる立場で参加してもらうのが筋だと思う

慎重・懸念する立場寄りの声

  • ドイツが加わると、フランスとの共同開発がうまくいかなかったのと同じことになりそうで心配。GCAPまで泥船にならないでほしい

  • 実現すれば、日本にとってはあまりありがたくない話だと思う。英国の財政事情が先に立っているように見える

その他の声

  • ドイツとフランスの開発が頓挫したのは、主導権争いに加えて、求める性能が違ったからだと思う。ドイツの要求がGCAPと合うのかが気になる

集め方:X(旧Twitter)で「GCAP OR 次期戦闘機」×「ドイツ」(いいね20件以上・話題順)と、「GCAP OR 次期戦闘機」×「歓迎 OR コスト OR 武器輸出」(いいね30件以上)で検索し、2026年9月〜10月10日の日本語投稿を確認しました。ドイツの参加を心配・警戒する投稿が多く、はっきり歓迎する投稿は見つけられなかったため、条件付きで受け入れる声を紹介しています
無作為に抽出したものではなく、世論を代表するものではありません。
「共感」の数は当サイト読者の反応で、世論調査ではありません。1つの声につき1回押せて、もう一度押すと取り消せます。

③ ポイント整理

意見が一致している点

  • GCAPの開発費が大きく、参加国が増えれば負担が軽くなること
  • ドイツが参加する場合、作業分担や意思決定の仕組みの調整が避けられないこと

意見が分かれている点

  • 費用の分担と、2035年配備のスケジュールのどちらを重く見るか
  • 後から加わるドイツに、どこまで開発への関与を認めるか
  • 参加国が増えることで、戦闘機の第三国への輸出が広がることをどう考えるか

今後の注目点

  • 10月末に調整されているメルツ首相の来日と日独首脳会談
  • 日英伊3カ国の協議で、ドイツ参加がどう扱われるか
  • ドイツが別の枠組み(独自開発やスウェーデンとの協力)を選ぶかどうか

開発費が大きく、参加国が増えれば負担が減るという点では、各国の見方は一致しています。対立の中心は、その利点と引き換えに、配備の遅れや作業分担のやり直しを受け入れられるかどうかです。 日本は2035年の配備を重視しているとされ、英国の財政事情やドイツの国益とどう折り合いをつけるかが問われます。参加国が増えれば戦闘機の輸出も広がり得るため、武器輸出のあり方をめぐる国内の議論にもつながるテーマです。

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