GMO不正アクセス、脅迫サイトの記録から攻撃者を絞り込み 犯人特定はまだ
GMOのFX向けクラウドサービスへの不正アクセスで、攻撃者の脅迫サイトに訪問者の記録が残っており、専門家が攻撃者のものとみられるIPアドレスを絞り込んだとTBSが報じました。「攻撃者のアカウントが露呈した」「犯人が特定された」という話も広がっていますが、警察もGMOも特定や逮捕は発表していません。報道とGMOの発表から確かめられたことを整理しました。
結論:広がっている話は本当?
- 不正確「TBSの報道で攻撃者のアカウントが露呈した」TBSの30日の放送では、脅迫サイトのURLを広めたXアカウントの名前がモザイクなしで映り、31日にはモザイクが追加されたと夕刊フジ(zakⅡ)が報じています。専門家はこのアカウントと攻撃者のつながりを指摘していますが、持ち主が攻撃者かどうかは確認されておらず、乗っ取られた可能性も指摘されています
- 確認できず「犯人はすでに特定された」専門家は「犯人の可能性がある人」の情報をGMOに渡したと話していますが、31日夜の時点で、警察もGMOも犯人の特定や逮捕を発表していません
- 事実「GMOは犯人特定につながる情報を警察に出した」GMOは29日、グループのホワイトハッカーチームが犯人の特定につながると考えられる情報を入手し、警察などに提出すると発表しました。中身は明らかにしていません
- 事実「GMOの子会社は脆弱性を前もって指摘していた」日本経済新聞がGMO幹部への取材で報じたところでは、GMO子会社のセキュリティー企業が2024年4月の時点でシステムの脆弱性を指摘していましたが、十分な対応がとられていませんでした

この記事のポイント
- 攻撃者の脅迫サイトには訪問者の記録が公開された状態で残っており、専門家が攻撃者のものとみられるIPアドレスを絞り込んだと、TBSが30日に報じました
- 日本ハッカー協会の杉浦隆幸代表理事は、「犯人の可能性がある人」の氏名・住所などの情報をGMOに渡したと話しています。ただし警察もGMOも、犯人の特定や逮捕は発表していません
- GMOの熊谷正寿会長兼社長は11月2日に記者会見を開き、経緯や顧客への対応を説明する予定です。子会社が2024年に脆弱性を指摘していたことも報じられています
みんなは?
読者アンケート・回答 件※ 統計的な世論調査ではありません。
① 何が起きているのか
この記事は「GMOへの身代金要求 80億円と1.6億円、食い違う金額と「人質」の実態」の続報です。
何がわかったのか
GMOインターネットのFX向けクラウドサービス「お名前.com デスクトップクラウド」への不正アクセスで、攻撃者は利用者の情報を毎日正午に公開すると予告する「脅迫サイト」を開いていました。サイトは28日朝にドメインが停止され、見られなくなっています。
TBSは30日、このサイトにサイトを訪れた人の記録が、公開された状態で残っていたと報じました。セキュリティー企業アンノウン・テクノロジーズの切敷裕大さんによると、攻撃者が意図せず公開していたものです。
サイトのファイルが書き換えられた直後に、特徴的な動きをするIPアドレス(ネット上の住所にあたる番号)が何度も訪れていました。切敷さんは、攻撃者本人がサイトを見に来て「足跡」を残したと分析し、3つのIPアドレスは攻撃者に使われた可能性が「強く推認される」としています。
「犯人の可能性がある人」の情報はGMOへ
GMOに協力している日本ハッカー協会の杉浦隆幸代表理事は、記録を別の方法で解析し、「犯人の可能性がある人」の情報をすでにGMOに送ったと話しています。その中には連絡先・住所・氏名が入っているといいます。
GMOは29日、グループのホワイトハッカーチームが犯人の特定につながると考えられる情報を入手し、警察などに提出すると発表しました。ただ、杉浦さんたちの分析と、GMOが警察に出した情報が同じものかどうかは明らかにされていません。
まだわかっていないこと
- 身元は公表されていません。 記録されたIPアドレスや場所、名前は公表されていません。
- IPアドレスだけで本人とは限りません。 海外のサーバーなどを経由すると、別の場所のIPアドレスが記録されます。切敷さんも、攻撃者は普段は仮想サーバーを経由していたとみています。
- 警察は特定を発表していません。 警視庁は不正アクセス禁止法違反の疑いなどで捜査していますが、31日夜の時点で、攻撃者の特定や逮捕は発表されていません。
「TBSの報道で攻撃者のアカウントが露呈した」という受け止めもあります。夕刊フジ(zakⅡ)によると、TBSが30日夕方に放送したニュースでは、訪問者のIPアドレスにはモザイクがかかっていた一方、すぐ下にあったXアカウントの名前は隠されていませんでした。番組は、攻撃者が自分の回線からサイトの動きを確かめた数分後に、このアカウントがサイトのURLを広めていたと伝えています。31日の放送とネット配信の動画では、この部分にもモザイクが追加されています。
ただ、このアカウントの持ち主が攻撃者本人かどうかは確認されていません。もともと使われていなかったアカウントが10月上旬から急に動き出しているため、乗っ取られた可能性も指摘されています。GMOも、自分で犯人を特定しようとしたり、確証のない情報を投稿したりすることは控えるよう求めています。
11月2日に熊谷会長が会見
GMOインターネットグループは31日、熊谷正寿会長兼社長が11月2日に記者会見を開くと発表しました。GMOインターネットの伊藤正社長も出席し、不正アクセスの経緯、顧客への対応、今後の取り組みを説明する予定です。
日本経済新聞はGMO幹部への取材をもとに、GMO子会社のセキュリティー企業が2024年4月の時点でシステムの脆弱性を指摘していたものの、十分な対応がとられていなかったと報じています。
出典
② それぞれの意見
各立場の主な主張を、元の発言や記事をもとに、当サイトがわかりやすくまとめています。
追跡に期待する見方の意見
日本ハッカー協会の杉浦隆幸代表理事は、攻撃者はサイバー犯罪のプロではなく、抜けている情報や追跡できる情報が多く残っているとして、「捕まる可能性は高い」との見方を示しています
セキュリティー企業アンノウン・テクノロジーズの切敷裕大さんは、脅迫サイトのファイルが書き換えられた直後に訪れたIPアドレスの動きから、攻撃者本人が「自分の足跡を残していった」と分析し、3つのIPアドレスは攻撃者に使われた可能性が「強く推認される」としています
GMOは、寄せられた情報とグループのホワイトハッカーチームの調査から、犯人の特定につながると考えられる情報を入手し、警察などに提出するとしています。懸賞金の窓口に寄せられた情報は、30日午後6時までに累計428件になりました
慎重な見方・GMOの責任を問う視点の意見
GMO自身が、利用者や一般の人に対し、自分で犯人を特定しようとしたり接触したりすることや、確証のない情報を投稿することは控えるよう求めています
日本経済新聞によると、GMO子会社のセキュリティー企業が2024年4月の時点でシステムの脆弱性を指摘していたものの、十分な対応がとられていませんでした
③ ポイント整理
意見が一致している点
- 攻撃者の特定と逮捕は、警視庁の捜査で決まること
- 公開された個人情報とされるものや攻撃者のサイトを、拡散したり見に行ったりしないほうがよいこと
意見が分かれている点
- 民間の専門家による分析をどこまで「犯人に近づいた」と受け止めてよいか
- 犯人の追跡と、GMOが被害を防げなかった責任の、どちらに重きを置いて見るか
今後の注目点
- 11月2日の熊谷会長兼社長の記者会見で、脆弱性の指摘への対応や顧客への補償がどう説明されるか
- 警視庁が攻撃者を特定・逮捕するか
脅迫サイトに残っていた訪問者の記録から、専門家が攻撃者のものとみられるIPアドレスを絞り込んだのは、TBSが報じた事実です。ただ、それは民間の分析で、「アカウントが露呈した」「犯人が特定された」とまでは言えません。 一方で、GMOの子会社が2年前に脆弱性を指摘していたことも報じられました。犯人がどこまで追い詰められているかと、なぜ被害を防げなかったのか。11月2日の会見は、その両方を確かめる場になります。
あなたの考えに近いのは?
ワンタップで回答できます。回答すると、ほかの読者の回答の割合が見られます。
※ 記事を読んだ方が自由に答える読者アンケートで、統計的な世論調査ではありません。当サイトとしての賛否を示すものでもありません。
この記事をシェアする
いろいろな立場の人と一緒に考えるきっかけに。