両論ニュース
内政(更新 2026年10月21日)

在留外国人428万人で最多 「急増」「不法滞在増」を入管統計で検証

出入国在留管理庁は10月16日、6月末の在留外国人が428万1026人で過去最多になったと発表しました。一方で、要件が厳しくなった「経営・管理」の新規入国は8割減り、不法残留者も半年で4.8%減っています。SNSで広がる「外国人は人口の1割」「不法滞在が増えている」といった話を入管庁の統計で確かめ、受け入れの管理を強めるべきだとする立場と、共生や働き手の確保を重視する立場の見方をまとめました。

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結論:広がっている話は本当?

  • 事実「在留外国人が過去最多の428万人になった」6月末で428万1026人です。2025年末から15万5631人(3.8%)増え、過去最多を更新しました
  • 不正確「外国人の増え方は加速し続けている」増え続けているのは事実ですが、半年の増加数は前年同期の18万7642人(5.0%)から15万5631人(3.8%)に縮みました。上半期の新規入国者も前年同期比0.1%減でした
  • 誤り「外国人はもう人口の1割を占めている」総人口に占める割合は約3.5%(共同通信は3.4%)です。1割を超えるのは21市区町村にとどまり(2025年国勢調査)、「10人に1人」は2040年代の予測として語られている数字です
  • 不正確「『経営・管理』ビザで中国人が殺到している」2025年末の「経営・管理」の在留者4万6781人のうち中国籍は2万4840人と半数余りでした。ただ、要件が厳しくなった後の2026年上半期の新規入国は635人で、前年同期から80.9%減り、在留者も6月末で4万2747人に減っています
  • 誤り「不法滞在が増えている」不法残留者は7月1日時点で6万5229人で、半年前より3259人(4.8%)減りました。その前の1年でも8.5%減っています。なお、この統計は在留期限を過ぎた人の数で、不法入国の人は含みません
  • 確認できず「このペースなら年末に443万人を超え、人口の3.7%になる」将来の見込みのため確かめられません。2025年の下半期は約16万9千人増えており、同じ程度増えれば440万人台に届く計算ですが、足元の割合は約3.5%で、増え方は前年より緩やかになっています
東京出入国在留管理局 立川出張所の建物
東京出入国在留管理局 立川出張所写真:Douglas P. Perkins / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)
10秒でわかるこの争点の構図

在留外国人428万人、何が増えて何が減ったのか

在留外国人(6月末)
428万人
「経営・管理」の新規入国
8割減
不法残留者(半年)
4.8%減

受け入れ管理の強化を求める

増え方が速すぎる。受け入れの総量や在留資格の審査をさらに厳しく管理すべき

VS

共生・働き手の確保を重視

人手不足の現場は外国人に支えられている。厳しすぎる要件は地域の店や働き手を追い出す

どちらも認めていること
在留外国人が過去最多になり、増加の中心が働く人の在留資格であること
次の焦点
受け入れ人数の管理を含む政府の基本方針(2027年3月予定)と、「経営・管理」の既存在留者の更新の扱い

この記事のポイント

  • 出入国在留管理庁によると、6月末の在留外国人は428万1026人で過去最多でした。国籍別では中国(94万1031人)、ベトナム、韓国の順で、この3か国で約半数を占めます。
  • 在留資格別では「永住者」が96万1342人で最多です。人手不足の分野で働く「特定技能」は44万4256人と半年で5万3960人増え、熟練した人向けの「2号」は2倍以上の1万8295人になりました。
  • 資本金の要件が500万円から3000万円に引き上げられた「経営・管理」は、2026年上半期の新規入国が635人で、前年同期の3329人から80.9%減りました。
  • 7月1日時点の不法残留者は6万5229人で、半年で4.8%減りました。入管庁は、ルールを守らない外国人を速やかに退去させる「不法滞在者ゼロプラン」が減少につながったとみています。

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※ 統計的な世論調査ではありません。

① 何が起きているのか

広がっている話を整理すると

広がっている話 確認できたこと
在留外国人が過去最多の428万人 事実です。6月末で428万1026人、半年で15万5631人増えました
外国人の増え方は加速し続けている 増加は続いていますが、半年の増加数は前年同期(18万7642人)より少なくなりました
外国人はもう人口の1割 約3.5%です。1割を超える市区町村は21にとどまります
「経営・管理」で中国人が殺到 在留者の半数余りは中国籍でしたが、新規入国は前年同期比80.9%減の635人です
不法滞在が増えている 不法残留者は6万5229人で、半年で4.8%、その前の1年で8.5%減りました

数字で見る6月末の在留外国人

項目 人数 2025年末からの増減
在留外国人の総数 428万1026人 +15万5631人(3.8%)
永住者 96万1342人 +1万4217人
技術・人文知識・国際業務 51万6184人 +4万394人
技能実習 45万7509人 +891人
特定技能 44万4256人 +5万3960人
経営・管理 4万2747人 −4034人(8.6%減)

国籍・地域別では、中国(94万1031人)、ベトナム(69万3750人)、韓国(40万8682人)の順です。半年の増え方が大きいのはインドネシア(+4万1387人)、ネパール(+3万3858人)、ミャンマー(+2万9035人)でした。

半年ごとの増え方

期間 増えた人数
2025年1〜6月 +18万7642人(5.0%)
2025年7〜12月 +16万8776人
2026年1〜6月 +15万5631人(3.8%)

「経営・管理」で何が変わったか

  • 2025年10月16日から、資本金などの要件が500万円から3000万円以上に上がり、常勤職員1人以上の雇用や日本語能力も求められるようになりました
  • 新規入国は、2025年上半期の3329人から2026年上半期は635人に減りました
  • 再入国の手続きをせずに出国した人は、246人から953人に増えました
  • 既に在留している人は、2028年10月16日までは、新基準を満たさないことだけで更新が認められないことはないとされています

不法残留者の推移

時点 人数
2025年1月1日 7万4863人
2026年1月1日 6万8488人
2026年7月1日 6万5229人

国籍別ではタイ(1万260人)がベトナム(1万135人)を抜いて最多になりました。

出典

出入国在留管理庁(令和8年6月末の在留外国人数)(10/16)出入国在留管理庁(不法残留者数・令和8年7月1日現在)(10/16)出入国在留管理庁(令和8年上半期の外国人入国者数)(10/16)出入国在留管理庁(令和7年6月末の在留外国人数)出入国在留管理庁(不法残留者数・令和8年1月1日現在)出入国在留管理庁(「経営・管理」の許可基準の改正)e-Stat 在留外国人統計(2025年12月末、国籍・地域別 在留資格別)熊本日日新聞(共同・在留外国人428万人、「経営」激減)(10/16)熊本日日新聞(共同・外国人「経営者」出国3.9倍)(10/15)時事ドットコム(在留外国人、過去最多428万人)(10/16)産経新聞(不法残留者は半年で4.8%減)(10/16)TBS NEWS DIG(Infoseek・「経営・管理」の新規入国や不法残留者は減少)(10/16)朝日新聞(「経営・管理」の外国人、新規入国8割減)(10/16)毎日新聞(「経営・管理」新規入国が8割減)(10/15)時事ドットコム(外国人5%超は132市区町村、国勢調査)(10/13)Yahoo!ニュース エキスパート(高口康太氏・外国人比率と「速度」)(10/18)Yahoo!ニュース エキスパート(中島恵氏・在日中国人94万人)(10/18)AFPBB News(在留外国人数、428万人で最多更新)(10/17)

② それぞれの意見

各立場の主な主張を、元の発言や記事をもとに、当サイトがわかりやすくまとめています。

受け入れ管理の強化を求めるの意見

  1. 山下貴司法相は16日の会見で「国民と外国人双方が安全・安心に生活できるよう今後も厳格で円滑な出入国在留管理に取り組みたい」と述べました。入管庁は、不法残留者の減少は「不法滞在者ゼロプラン」の推進が影響したとみています。

  2. 政府は「経営・管理」について、諸外国の同様の制度より許可基準が緩く、移住目的で悪用されているとして要件を厳しくしました。自民党の特別委員会では、見直し案に対しても「一定の日本語能力を求めるべきだ」など、さらなる厳格化を求める声が相次ぎました。高市首相は9月27日のX投稿で、在留資格認定証明書の交付件数が90%減ったと発信しています(新規入国者数の80.9%減とは別の指標です)。

  3. 「日本人ファースト」を掲げる参政党は、気付かないうちに外国の勢力が国内に浸透する現象を「サイレント・インベージョン(静かなる侵略)」と呼んで警戒を呼びかけています。AFPは、こうした反移民感情の高まりの中で、首相が外国人政策や出入国管理の厳格化を進めていると伝えています。

共生・働き手の確保を重視の意見

  1. 信濃毎日新聞は社説で、資本金3000万円以上の企業は日本全体でも1割に満たず、個人で小さな店を営む外国人には「およそ理不尽な要求」だと批判しました。外国人を迎え入れなければ産業も地域社会も成り立たないとして、政府の外国人政策が差別や排外主義をあおっていると問題視しています。

  2. 共産党の仁比聡平参院議員は、資本金3000万円の新要件を満たす人は「経営・管理」の在留者の約4%にすぎないとする入管庁の資料を示し、「地域に根ざしてがんばるお店が9割もつぶされることはあってはならない」と追及しました。ネット上でも、エスニック料理店の存続を求める署名活動が広がりました。

  3. ジャーナリストの高口康太氏は、日本の外国人比率は主要先進国の中では低く、反発の理由は比率ではなく増える「速度」にあると分析しています。ルールを守って暮らす大多数の外国人まで不安に追い込んでいるとし、受け入れ政策を無造作につぶせば日本経済への打撃が懸念されると指摘しました。AFPによると、財界も政府に、在留外国人を支える包括的な政策を求めています。

データから考える視点

  1. 「経営・管理」の外国人で、再入国の手続きをせずに出国した人は、2025年上半期の246人から2026年上半期は953人に増えました。政府関係者は「出国者が増えたから良い、悪いということはない。あくまで在留外国人の『質』が重要だ」と話しています。既に在留している人には、施行から3年間(2028年10月16日まで)、新しい基準を満たさないことだけで更新を認めないことはないとされています。

  2. OECDの統計(2024年)で外国人の比率はドイツ16.4%、フランス9.1%、米国7.6%、韓国4.2%に対し、日本は2.7%です(定義が異なるため、入管庁の在留外国人数とは数字が一致しません)。一方、2025年の国勢調査では、外国人の割合が5%を超える市区町村が5年前の53から132に増え、地方にも広がっています。

Xの発信

関連動画

【独自】在留資格「経営・管理」の許可基準厳格化 新規申請は96%減(TBS NEWS DIG)「経営・管理」の許可基準を厳しくした後、新規申請が96%減ったと伝えたニュースです(2026年春、約1分)YouTubeで見る ↗
【ノーカット】外国人の永住許可要件に「日本人の平均収入を継続して上回る必要」明記 平口法相記者会見(フジテレビ 報道【公式】)永住許可の要件に「日本人の平均収入を継続して上回る」ことを明記した新しい指針についての法相の会見です(ノーカット、約15分)YouTubeで見る ↗

背景を読む:それぞれの思惑

ここからは編集部の見立て(推測)です。裏付けはありませんが、推測のもとにした事実には出典を付けています。

出入国在留管理庁・法務省

「過去最多」と同時に「減った数字」を前に出した理由

推測在留外国人が過去最多を更新するたびに、SNSでは「受け入れすぎだ」という反発が強まります。入管庁や法相が、厳格化した「経営・管理」の8割減や不法残留者の減少を同じ日に強調したのは、増加の数字だけが独り歩きしないよう、管理の成果を示す狙いがあったとみられます。

推測のもとにした事実

政府・経済界

厳格化しても総数が増え続ける理由

推測厳しくしたのは「経営・管理」など一部の在留資格で、人手不足を補う「特定技能」や「技術・人文知識・国際業務」はむしろ大きく増えています。政府は「秩序ある受け入れ」を掲げつつ、働き手の受け入れそのものは止めていないため、規制強化と過去最多が同時に起きていると読めます。

推測のもとにした事実

世の中の声

SNSの反応

受け入れ管理の強化を求める寄りの声

  • 半年で15万人も増えるのは速すぎると思う。どこまで受け入れを広げるつもりなのか、はっきりさせてほしい

  • 「経営・管理」はこれまでの基準が緩すぎたのであって、今回は厳格化というより正常化だと思う。ほかの在留資格も見直すべきだと思う

  • 在留外国人の数には不法滞在の人は入っていないので、実際はもっと多いと思う

集め方:X(旧Twitter)で「在留外国人 428万」「経営管理 厳格化」「経営管理 中国人」「在留外国人 共生 人手不足」などで検索し、2026年10月14〜20日の日本語投稿を確認しました。多く読まれていたのは増加を問題視する投稿で、共生や働き手の確保を重視する一般の方の意見は、ニュースの共有を除くとほとんど見つかりませんでした。そのため、今回は両方の声を同じ数だけ並べることができていません。共生を重視する立場の主張は、上の「それぞれの意見」をご覧ください。外国人へのステレオタイプや侮辱を含む投稿は取り上げていません
無作為に抽出したものではなく、世論を代表するものではありません。
「共感」の数は当サイト読者の反応で、世論調査ではありません。1つの声につき1回押せて、もう一度押すと取り消せます。

③ ポイント整理

意見が一致している点

  • 在留外国人が過去最多の428万人になったこと
  • 要件を厳しくした「経営・管理」の新規入国が大きく減ったこと
  • 不法残留者が減り続けていること

意見が分かれている点

  • 今の増え方を「速すぎる」とみて、受け入れの総量を管理すべきか
  • 「経営・管理」の資本金3000万円の要件は、悪用を防ぐために妥当か、小さな店には厳しすぎるか

今後の注目点

  • 受け入れ人数の管理を含む政府の基本方針(2027年3月予定)の中身
  • 「経営・管理」の既存在留者の更新が、3年の経過措置後にどう扱われるか
  • 2026年末の在留外国人数と、不法残留者数の推移

在留外国人が過去最多の428万人になったのは事実です。ただ、半年の増え方は前年より緩やかになり、総人口に占める割合は約3.5%で、「人口の1割」ではありません。不法残留者は減り続けており、「不法滞在が増えている」という話は統計と合いません。「経営・管理」は在留者の半数余りが中国籍でしたが、要件の厳格化で新規入国は8割減りました。 管理強化を求める立場は、増えるスピードを抑え、在留資格の審査をさらに厳しくすべきだと考えます。共生を重視する立場は、地域の店や人手不足の現場を支える外国人を追い出しかねないと懸念しています。

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