M9.9の地震が起きたらどうなる? 緊急地震速報「M9.9」が出た理由も解説
M9.9の地震が本当に起きたらどうなるのか。エネルギーは東日本大震災の約22倍で、観測史上最大のチリ地震(M9.5)も上回ります。千島海溝の巨大地震で内閣府が想定する震度7・津波28メートル・死者約10万人をもとに解説します。10月16日に気象庁が「千島列島でM9.9」の緊急地震速報を出し、8分後に取り消した理由と、「サイバー攻撃」「人工地震」説の真偽も確かめました。
結論:広がっている話は本当?
- 誤り「千島列島でM9.9の巨大地震が起きた」実際に起きたのはカムチャツカ半島付近のM6.9の地震で、国内の最大震度は北海道函館市の震度1でした。気象庁が規模を過大に推定し、速報を取り消しました
- 確認できず「気象庁のシステムがサイバー攻撃を受けた」気象庁は、その時間帯に外部からのアクセスはなかったとして、サイバー攻撃を否定しています。第2報では、遠くの地震に国内用の計算式を使ったことなどを原因に挙げています
- 誤り「誤報ではなく、人工的に巨大地震を起こそうとして失敗した」同じ時刻に実際に起きていたのはカムチャツカ半島付近のM6.9で、気象庁も地震情報で発表しています。日本地震学会は、膨大な費用やエネルギーが必要なことなどから「人工地震」は非現実的だとしています
- 事実「緊急地震速報(警報)が取り消されたのは初めて」「予報」の取り消しは過去にもありますが、一般向けの「警報」の取り消しは今回が初めてだと気象庁が説明しています

緊急地震速報、速さ優先?精度優先?
- 速報の推定(実際はM6.9)
- M9.9
- 警報から取り消しまで
- 約8分
- M9.9のエネルギー(東日本大震災のM9.0と比べて)
- 約22倍
速さ優先派
揺れまで数秒〜数十秒しかない。空振りがあっても、まず早く知らせることを優先すべき
見直し派
誤った警報が続けば信頼が下がる。遠い地震の扱いや、取り消しの伝え方を見直すべき
- どちらも認めていること
- 原因を調べ、同じ誤りを繰り返さないことが必要
- 次の焦点
- 気象庁の原因調査の結果と、再発防止策
この記事のポイント
- 気象庁は10月16日午後0時40分、「千島列島でM9.9」として北海道から中部地方に緊急地震速報(警報)を出し、北海道と東北で最大震度7程度を予測しました。8分後の0時48分に取り消しました。
- 実際はカムチャツカ半島付近で起きたM6.9、深さ約160キロの地震で、国内の最大震度は函館市の震度1でした。
- 気象庁は第2報で、日本から非常に遠い地震に国内用のマグニチュードの計算式を使ったこと、マグニチュードの計算と震度の予測で別々の震源を使ってしまったことを原因に挙げています。
- 東海道新幹線は新横浜〜豊橋間で約15分運転を見合わせ、JR北海道の一部の在来線も一時止まりました。
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読者アンケート・回答 件※ 統計的な世論調査ではありません。
① 何が起きているのか
広がっている話を整理すると
| 広がっている話 | 確認できたこと |
|---|---|
| 千島列島でM9.9の地震が起きた | 実際はカムチャツカ半島付近のM6.9、深さ約160キロ。国内の最大震度は函館市の震度1でした |
| サイバー攻撃・ハッキングだ | 気象庁は外部からのアクセスはなかったとして否定。第2報で計算の仕組みの問題を挙げています |
| 人工地震を起こそうとして失敗した | 実際に起きていたのはカムチャツカ半島付近のM6.9の自然の地震です。日本地震学会は「人工地震」説を非現実的としています |
| M9.9は東日本大震災の16倍 | 比べ方によります。東日本大震災をM9.0とすると約22倍、M9.1とすると約16倍になります |
何が起きたのか
- 午後0時38分ごろ:カムチャツカ半島付近でM6.9の地震が発生
- 午後0時40分:気象庁が「千島列島でM9.9」として、北海道から中部地方に緊急地震速報(警報)。北海道・東北で最大震度7程度と予測
- 午後0時40分ごろ:東海道新幹線が新横浜〜豊橋間で運転見合わせ(0時55分ごろ再開)
- 午後0時48分:気象庁が警報を取り消し。取り消しの通知でも警報音が鳴った端末があった
- 午後2時:気象庁が会見し謝罪。「サイバー攻撃ではない」
- 午後5時30分:第2報。遠い地震に国内用の計算式を使ったことなどを公表
もし本当にM9.9の地震が起きていたら
観測史上最大を超える規模です。 世界で観測された最大の地震は1960年のチリ地震(M9.5)、日本の観測史上最大は2011年の東日本大震災(M9.0)です。
エネルギーは東日本大震災の約22倍。 気象庁によると、マグニチュードが1大きくなると地震のエネルギーは約32倍、2大きくなると約1000倍になります。この関係で計算すると、M9.9はM9.0の約22倍、チリ地震(M9.5)の約4倍のエネルギーになります。
ずれ動く断層もけた違いに大きくなります。 マグニチュードが1上がると断層の長さはおよそ3倍になります。M9.9には、M9の地震の2倍以上の長さの断層が一度にずれ動く必要があり、気象庁も会見で「地震学的に考えにくい」としています。
参考になるのは、国が想定する千島海溝の巨大地震です。 内閣府は、えりも岬より東の千島海溝沿いで最大クラスの地震が起きた場合を次のように想定しています。M9.9はこれをさらに大きく上回る規模です。
| 項目 | 千島海溝沿いの最大クラスの想定(内閣府) |
|---|---|
| 揺れ | 北海道えりも町や厚岸町で震度7 |
| 津波 | 北海道えりも町や釧路町で高さ28メートル |
| 死者(冬の深夜) | 約10万人。津波から逃れても低体温症の危険がある人が約2万2千人 |
| 建物被害(冬の夕方) | 約8万4千棟 |
| 経済的被害 | 約17兆円 |
隣の日本海溝沿いの想定では、死者は最大約19万9千人、経済的被害は約31兆円にのぼります。
緊急地震速報が鳴ったら
気象庁は、速報を見聞きしたら「周囲の状況に応じて、あわてずに、まず身の安全を確保する」ことを基本としています。
- 屋内では、頭を守り、丈夫な机の下など安全な場所に身を寄せる
- 車の運転中は、ハザードランプをつけて周りに知らせ、大きな揺れを感じたら道路の左側に止める
- 内容を確かめるより先に身を守れるよう、報知音を覚えておく
② それぞれの意見
各立場の主な主張を、元の発言や記事をもとに、当サイトがわかりやすくまとめています。
速さ優先派の意見
緊急地震速報は、地震を予知するものではなく、起きた地震の最初の揺れ(P波)をとらえて、強い揺れ(S波)が来る前に知らせる仕組みです。速報から強い揺れまでは数秒〜数十秒しかなく、データが集まるのを待てば間に合わなくなります。
気象庁は、取り消しのときにも同じ音が鳴ったことについて、現時点では音の変更は検討していないとしています。気象庁はふだんから、報知音を覚えておけば内容を確かめる前にとっさに身を守れるとして、音を覚えておくよう呼びかけています。
気象庁によると、速報の後に予測が下がっただけでは取り消さず、地震以外の振動を地震と判断した場合などに取り消す仕組みです。今回は予測した時刻に地震波が来ても揺れがないことを確かめ、明らかに過大と判断した段階で取り消したとしています。
見直し派の意見
取り消しの通知でも最初の速報と同じ警報音が鳴ったため、Xでは「なんで同じ音なんだ」「心臓に悪い」といった声が相次ぎました。新しい強い揺れの知らせと取り消しが音で区別できないとして、別の音にすべきだという指摘があります。
気象庁の観測網は北は根室付近までで、千島列島から先の遠い地震は推定の精度が下がりやすいとされます。2020年7月には鳥島近海のM5.8を房総半島沖のM7.3と誤って推定した例もあり、遠くの地震の扱いを見直すよう求める声があります。
観測史上最大の地震は1960年のチリ地震(M9.5)で、M9.9は会見でも地震学的に考えにくいとされました。こうした「ありえない数字」を自動で出す前に止める仕組みが必要ではないか、という見方もあります。
Xの発信
気象庁:緊急地震速報(警報)の過大な推定について、原因の第2報を発表した
気象庁のXの投稿を見る ↗
背景を読む:それぞれの思惑
ここからは編集部の見立て(推測)です。裏付けはありませんが、推測のもとにした事実には出典を付けています。
気象庁
なぜ「M9.9・震度7」という予測になったのか
推測第2報の図によると、気象庁のシステムは、カムチャツカ半島よりさらに東の海を震源としてマグニチュードを計算し、その値を使って、日本に近い千島列島の震源で各地の震度を予測していました。遠い震源で過大に出たマグニチュードを、近い震源に当てはめたため、北海道や東北で震度7程度という予測になったとみられます。詳しい仕組みは調査中です。
推測のもとにした事実
- ・日本から非常に遠い地震に国内用のマグニチュードの式を適用した気象庁(緊急地震速報(警報)について 第2報)(10/16)
- ・マグニチュードの計算と震度の予測に使った震源が異なっていた気象庁(緊急地震速報(警報)について 第2報)(10/16)
世の中の声
SNSの反応
速さ優先寄りの声
誤報で本当によかった。空振りでも、鳴らないよりはいいと思う
M9.9という数字を見た時点で、システムの誤りかもと気づけるのも大事だと思う
見直し寄りの声
取り消しまで同じ音で鳴ると、次の地震かと思って余計に怖いと思う
最近は不正アクセスが多いので、サイバー攻撃ではないかと疑ってしまうと思う
集め方:X(旧Twitter)で「M9.9」「緊急地震速報 サイバー攻撃」などで検索し、2026年10月16日の日本語投稿を確認しました。「誤報でよかった」という安堵の声とともに、ハッキングを疑う投稿や、取り消しの音への不満が目立ちました
無作為に抽出したものではなく、世論を代表するものではありません。
「共感」の数は当サイト読者の反応で、世論調査ではありません。1つの声につき1回押せて、もう一度押すと取り消せます。
③ ポイント整理
意見が一致している点
- 千島列島でM9.9の地震は起きておらず、実際はカムチャツカ半島付近のM6.9だったこと
- 原因を調べ、同じ誤りを繰り返さないようにすべきこと
意見が分かれている点
- 誤報の可能性があっても、速さを優先して警報を出し続けるべきか
- 取り消しの通知の音や伝え方を変えるべきか
今後の注目点
- 気象庁の原因調査の最終的な結果
- 遠くの地震の扱いなど、計算の仕組みの見直し
- 取り消しの伝え方の見直しがあるか
千島列島でM9.9の地震は起きておらず、実際はカムチャツカ半島付近のM6.9でした。気象庁はサイバー攻撃を否定し、遠くの地震に国内用の計算式を使ったことなどを原因に挙げています。「人工地震の失敗」といった説には根拠がありません。 速さ優先派は、揺れまでの時間が短い以上、空振りがあっても早く知らせるべきだと考えます。見直し派は、信頼を保つために遠い地震の扱いや取り消しの伝え方を改めるべきだと考えています。
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