両論ニュース
編集部の気になる(更新 2026年10月20日)

MMX、火星の衛星の砂を持ち帰りへ 大型探査への期待と、宇宙科学の課題

JAXAは10月20日、火星の衛星フォボスから砂を持ち帰る探査機「MMX」をH3ロケットで打ち上げる予定です。「はやぶさ2」に続く大型の探査で、成功すれば世界初となります。日本の宇宙科学の強みを生かす挑戦として期待する立場と、費用や打ち上げのリスク、宇宙科学全体の先細りを心配する立場の見方をまとめました。

種子島宇宙センターのロケット発射台と避雷鉄塔
種子島宇宙センターの大型ロケット発射場(鹿児島県南種子町)写真:Naritama (NARITA Masahiro) / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)
結果2026年10月20日:MMXの打ち上げに成功、火星の衛星へ5年の旅↓

この記事のポイント

  • JAXAは、火星の衛星フォボスの砂を持ち帰る探査機「MMX」を、10月20日午前4時41分に種子島宇宙センターからH3ロケット10号機で打ち上げる予定です。
  • 探査機は約1年で火星の周りを回る軌道に入ります。フランスとドイツの探査車を先にフォボスに降ろしたあと、探査機自身も着陸して10グラム以上の砂を採取し、2031年度に地球に戻る計画です。
  • 火星の衛星から試料を持ち帰れば、世界で初めてです。フォボスの成り立ちや、火星の水の起源を探る手がかりになると期待されています。
  • H3ロケットは2025年12月の8号機で衛星を軌道に投入できず、失敗しています。その後、2026年6月の6号機で打ち上げを再開しました。

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① 何が起きているのか

MMXの計画

項目 内容
打ち上げ 2026年10月20日 4時41分(予備期間は11月7日まで)
ロケット H3ロケット10号機(種子島宇宙センター)
目的地 火星の衛星フォボス(直径20〜30キロほど)
採取の目標 10グラム以上の砂
地球への帰還 2031年度(カプセルをオーストラリアで回収)
国際協力 フランス・ドイツの探査車、米国・欧州との協力

「はやぶさ」から続く試料の持ち帰り

  • はやぶさ:小惑星イトカワから試料を持ち帰る
  • はやぶさ2:小惑星リュウグウから試料を持ち帰る
  • MMX:火星の衛星フォボスから砂を持ち帰る計画(成功すれば世界初)

② それぞれの意見

各立場の主な主張を、元の発言や記事をもとに、当サイトがわかりやすくまとめています。

期待派の意見

  1. 「探査機の準備は万全。打ち上げが待ち遠しい」(川勝康弘・MMXプロジェクトマネージャ)。2020年の計画発表時には「サンプルリターン(試料の持ち帰り)では世界の先頭を走る」と語っていました。

  2. 宇宙科学研究所の藤本正樹所長は、中型の計画で世界を「あっ!」と言わせる成果を出すことが研究所の最大の強みだとし、MMXを「はやぶさ2」に続いて小さな天体から試料を持ち帰る計画と位置づけています。欧州などとの国際協力の場にもなるとしています。

  3. フォボスは、火星に捕まった小惑星なのか、巨大な衝突で飛び散ったかけらが集まったものなのか、2つの説があります。持ち帰った砂の分析で、この論争に決着がつくと期待されています。

課題指摘派の意見

  1. 藤本所長は同じメッセージで、日本の宇宙科学は「このまま何もしないと将来のミッションが無くなってしまう」状態だと訴えています。小型ロケット「イプシロン」の問題や、利益の少ない宇宙科学の仕事をメーカーが引き受けにくくなっていることなどを理由に挙げています。

  2. 内閣府の宇宙科学・探査小委員会では、委員から、海外との共同研究は円安や物価の上昇で予算が目減りし、研究計画にも影響しかねないとの意見が出ています。

  3. 計画発表時の総開発費は464億円で、「はやぶさ2」より6割多い見込みでした。打ち上げは当初の2024年からH3の開発の遅れで延び、そのH3は2025年12月にも失敗しています。大型の探査は、1回の失敗で失うものも大きくなります。

政府

  1. 松本洋平・文部科学相は、H3の打ち上げで実績を示して信頼性を高めたいとし、MMXは予定どおり打ち上げを進める考えを示しています。

Xの発信

背景を読む:それぞれの思惑

ここからは編集部の見立て(推測)です。裏付けはありませんが、推測のもとにした事実には出典を付けています。

JAXA

なぜ今の時期の打ち上げにこだわるのか

推測火星と地球の位置関係から、打ち上げに適した時期は限られています。今回の10〜11月を逃すと、次の機会まで2年ほど待つことになり、費用も計画全体の日程もさらに膨らみます。H3の失敗からの立て直しの途中でも、予定どおりの打ち上げを目指しているとみられます。

推測のもとにした事実

③ ポイント整理

意見が一致している点

  • 火星の衛星からの試料の持ち帰りに成功すれば、世界初の成果になること
  • H3ロケットの信頼性を取り戻すことが、日本の宇宙開発全体にとって大切なこと

意見が分かれている点

  • 大型の探査に費用をかけることを、どこまで優先すべきか
  • 宇宙科学全体の予算や人材を、どう確保していくか

今後の注目点

  • 10月20日の打ち上げが予定どおり成功するかどうか
  • 火星周回軌道への到着と、フォボスへの着陸
  • 宇宙科学の予算や、次のミッションの計画

MMXが成功すれば世界初の成果になり、日本の強みである試料の持ち帰りを示す機会になるという点では、見方は一致しています。分かれているのは、その先の見通しです。 期待派は、「はやぶさ2」に続く挑戦が科学の発展や国際協力につながると考えます。課題指摘派は、MMXの意義は認めつつ、費用や打ち上げのリスク、宇宙科学全体の先細りに目を向ける必要があると考えています。

④ その後どうなった?

この記事の公開後に出た結果や、大きな動きを追記しています。

  1. MMXの打ち上げに成功、火星の衛星へ5年の旅

    JAXAは20日午前4時41分、火星衛星探査機「MMX」を種子島宇宙センターからH3ロケット10号機で打ち上げ、予定の軌道で分離して打ち上げに成功しました。H3の成功は3回連続で、10機中8機の成功になりました。 MMXは2027年8月にも火星の周回軌道に着き、29年ごろに衛星フォボスに2回着地して砂などを採取します。31年7月に試料入りのカプセルをオーストラリアの砂漠に届ける計画で、実現すれば火星圏からの試料の持ち帰りとして世界初になります。

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