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「インフルエンサー議員」が存在感 SNSは政治を身近にするか、「バズ」優先で議会をゆがめるか

SNSやYouTubeで発信し、多くのフォロワーを集める「インフルエンサー議員」が存在感を増しています。有権者との距離を縮め、立候補のハードルを下げると評価する声と、注目集めが優先されて議会での合意づくりや議員の本来の仕事が損なわれると心配する声をまとめました。

SNSアプリが並ぶスマートフォンの画面
イメージ写真:Elena Rossini / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

この記事のポイント

  • 地元の飲食店をYouTubeで紹介する市議、Xで10万人近いフォロワーを持つ都議など、SNSで話題を集める「インフルエンサー議員」が増えています。ABEMAの番組では、現職議員から「SNS一本で当選できる時代は目の前」との声も出ました。
  • 選挙でのSNSの影響も大きくなっています。時事通信の出口調査では、投票先を決める際にSNSや動画を参考にした人は、2025年参院選で46.9%、2026年2月の衆院選で42.7%でした。
  • 一方で、注目集めが優先されて議員の仕事がおろそかになる、議会の内部の情報を外に出して合意づくりが難しくなる、といった懸念も議員自身から出ています。
  • 東京都議会では2026年6月、政務活動費を使った報告会の動画をYouTubeで配信して広告収入を得た議員がいたとして、収益分を差し引くか、収益化しないよう求めました。税金で賄う活動とSNSの収益の線引きも課題になっています。

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※ 統計的な世論調査ではありません。

① 何が起きているのか

「インフルエンサー議員」とは

SNSやYouTubeで日常的に発信し、多くのフォロワーや視聴者を集める議員のことです。ABEMAの番組(10月10日配信)では、次のような例が紹介されました。

  • 地元の飲食店をYouTubeで紹介し、予算や開発の話への「入り口」にしている市議
  • 「区政2割、ゆるネタ8割」の比率で投稿を続ける区議
  • Xで32万件以上の投稿、10万人近いフォロワーを持つ都議

選挙とSNSの関係

  • 2024年衆院選:YouTubeの選挙関連動画の再生のうち、約6割は政党や候補者ではない第三者の投稿でした(選挙ドットコム調べ)。切り抜き動画で収入を得る投稿者も多いとされます。
  • 2025年参院選:投票先を決める際にSNSや動画を参考にした人は46.9%(時事通信の出口調査)。
  • 2026年衆院選:参考にした人は42.7%。政党関連の動画の多くは第三者が作ったもので、生成AIを使った動画も大量に広がりました。

収益化をめぐるルール

  • 東京都議会(2026年6月):政務活動費を使った報告会の動画で広告収入が発生したとして、収益分を差し引くか、収益化しないよう求めました。
  • 選挙のSNS対策の改正法(2026年7月成立):SNS事業者に偽情報対策を義務づけました。投稿者の収益化の停止は、付帯決議で対策例として挙げられています(2027年4月の統一地方選から適用)。

② それぞれの意見

各立場の主な主張を、元の発言や記事をもとに、当サイトがわかりやすくまとめています。

SNS発信を評価する立場の意見

  1. 祭りや会合で有権者と接するのと同じで、SNSで交流するのも大事な活動です。炎上を恐れて何も発信しないよりはずっといい(荻野稔・東京都議)。SNSのおかげで立候補のハードルが大きく下がり、自分の最初の選挙は10万円ほどしか使っていません。LINEの公式アカウントには日々相談が寄せられ、議員のあり方も変わりました(佐藤篤・墨田区議)。

  2. 地方議員は、全国比例を除けば「ご当地アイドル」と同じで、テレビに毎日出られるわけではない以上、YouTubeやSNSで頑張るのは合理的です(社会学者の古市憲寿氏)。政策より人柄で選ぶ人も多く、ポスターよりXやYouTubeのほうが人柄は分かるので、有権者の選択肢が増えたといえます(ひろゆき氏)。

  3. 切り抜き動画などで政治への関心が高まるのはよいことで、安易な規制には反対です。SNSが盛り上がった選挙では投票率も上がりました。対策は、誤りを利用者が指摘し合う「コミュニティノート」のような、プラットフォーム側の仕組みを優先すべきです(選挙ドットコムの鈴木邦和編集長)。総務省の調査でも、2025年参院選では19〜34歳の各世代の投票率が前回衆院選より10ポイント以上上がりました。

弊害を懸念する立場の意見

  1. YouTubeが中心になり、動画を流すために争ったり「辞職します」と言ってみたりと、インフルエンサーとしての自分に囚われて議員の仕事が後回しになる人がいます(ひろゆき氏)。議会人は党派が違っても話し合ってまとめなければなりません。内部の話として扱うと決めた情報をどんどん外に出されると、話し合いになりません(佐藤篤・墨田区議)。バズっても何も解決しない、議員の仕事は最後は調整して落ち着けることです(荻野稔・東京都議)。

  2. 数十秒のショート動画が「好き・嫌い」という直感を先行させ、選挙が「人気投票」になる落とし穴があります(東京新聞)。注目を集めた者が得をする仕組みのもとでは、刺激の強い投稿は虚偽でも広がります(法政大学の山口二郎教授)。SNSが政治や選挙を大きくゆがめており、ルールを議論すべきだとの指摘もあります(中央大学の中北浩爾教授)。

  3. 政務活動費は議員の調査研究などのための公金です。それを使った活動を個人の収益事業に使うことは、政務活動費の目的から逸脱しかねません。動画の収益分は政務活動費から差し引くか、そもそも収益化しないようにすべきです(東京都議会の政務活動費調査等協議会の見解と、議会局の要請)。

SNSの影響力を冷静に見る視点

  1. 投票に行くのは高齢者が多く、Xで成功していると考えるのは過大評価かもしれません(タレントのあおちゃんぺ氏)。一方で、高齢者のSNS利用も増えており、熱心なファンが周りに投票を呼びかけることで支持が広がることもあります(政治学者の岩田温氏)。実際、YouTubeで発信する市議の視聴者は45歳以上の男性が中心で、テレビ画面での視聴が最も多いといいます。

  2. SNSで注目を集めても議席に結びつくとは限りません。2025年の都議選では、動画の再生数で他を大きく上回った「再生の道」が当選者ゼロでした。2026年衆院選では、前年の参院選で参政党の投稿を広げていたアカウントの約83%が、参政党の投稿を広げなくなっていたとの分析もあり、SNSでの支持は移ろいやすい面があります。

背景を読む:それぞれの思惑

ここからは編集部の見立て(推測)です。裏付けはありませんが、推測のもとにした事実には出典を付けています。

新興政党・地方議員

組織や地盤がなくても戦える「武器」

推測SNSは、後援会や業界団体の組織票を持たない新人や新興政党にとって、少ない費用で有権者に届く手段です。「SNS一本で当選できる」という見方が出るのは、既存の地盤に頼らない新しい勝ち方が現実味を帯びてきたからかもしれません。ただし、SNSでの支持は移ろいやすく、継続的な支持に結びつけられるかが課題とも言えます。

推測のもとにした事実

大政党

「SNS選挙」はもはや新興政党だけのものではない

推測2026年衆院選では、自民党が広告を使って首相のメッセージ動画を1億回以上再生させ、SNSでも大きな存在感を示しました。これまで新興政党の「武器」だったSNSに、資金力のある大政党が本格的に乗り出したことで、SNS上の競争の構図も変わりつつあるのかもしれません。

推測のもとにした事実

  • ・高市首相のメッセージ動画は、投稿から10日足らずで1億回再生された時事通信(2/4)

議会・行政

ルールが追いつかない「収益化」

推測議員の動画の収益化について、国会や各党の明確なルールは確認できませんでした。東京都議会は政務活動費との関係で要請を出しましたが、議員個人のチャンネルの収益そのものを規制する権限はないとしています。選挙のSNS対策の法改正でも、収益化の停止は付帯決議で例示されるにとどまりました。発信が広がる一方で、ルールづくりは後追いになっているとも言えそうです。

推測のもとにした事実

世の中の声

世論調査

  • 新聞通信調査会の「メディアに関する全国世論調査」(2025年7〜8月、全国18歳以上、回答2665人)では、ネットでの選挙運動が「良い影響」を与えたとの回答が56.8%、「悪い影響」が39.6%でした。18〜19歳では「良い影響」が83.8%だった一方、70代以上では29.7%にとどまり、世代で大きく分かれました。参院選で投票先を決める際に「政治家のSNS等での発信」を参考にした人は14.0%でした。

    新聞通信調査会(第18回メディアに関する全国世論調査)
  • 時事通信の出口調査では、投票先を決める際にSNSや動画を「参考にした」(ある程度を含む)人は、2025年参院選で46.9%、2026年衆院選で42.7%でした。

    時事通信(衆院選出口調査)

SNSの反応

SNS発信を評価する立場寄りの声

  • 議員のSNSは「町の観光大使」のつもりで使うのがいいと思う。地元の良さを発信してくれる議員はフォローしたくなる

  • 議会の中で何が話し合われているのか、これまで有権者には見えなかった。一次情報を自分で発信してくれる議員がいるのはありがたい

弊害を懸念する立場寄りの声

  • 税金で行った視察を動画にして、その収益を議員個人が受け取るのはおかしいと思う

  • 炎上して注目を集めるような議員ばかりだと、議会全体が軽く見られてしまう。緊張感を持って仕事をしてほしい

集め方:X(旧Twitter)で「インフルエンサー議員」「YouTuber議員」「議員のSNS」「政治家のSNS」、「議員」×「SNS OR YouTube」×「バズ OR 本業 OR 切り抜き」(いいね30〜300件以上・話題順)などで検索し、2026年7月〜10月10日の日本語投稿を確認しました。このテーマそのものを論じた投稿は多くなく、個別の議員をめぐる投稿が中心でした。特定の議員への攻撃や中傷を含む投稿は除いています
無作為に抽出したものではなく、世論を代表するものではありません。
「共感」の数は当サイト読者の反応で、世論調査ではありません。1つの声につき1回押せて、もう一度押すと取り消せます。

③ ポイント整理

意見が一致している点

  • 議員がSNSで有権者に情報を届けること自体は、今の時代に欠かせないこと
  • 「バズ」だけでは問題は解決せず、議員の本来の仕事は議会での調整や政策づくりにあること

意見が分かれている点

  • SNSは政治を身近にするのか、それとも「人気投票」化を進めるのか
  • 議会の内部の情報を、議員が独自に発信することをどこまで認めるべきか
  • 議員の動画の収益化に、ルールを設けるべきか

今後の注目点

  • 2027年4月の統一地方選で、SNSを主な手段とする候補がどれだけ当選するか
  • 改正公選法・情プラ法の施行(2027年3月)と、SNS事業者による収益化への対応
  • 地方議会や国会で、議員の動画の収益化について新たなルールが設けられるか

議員がSNSで発信すること自体の意義や、それだけでは政治の課題は解決しないという点では、評価する側と懸念する側の考えに重なりがあります。対立の中心は、SNSが政治を身近にする力と、注目集めが優先されて議会の合意づくりや選挙の判断がゆがむ危うさの、どちらを重く見るかです。 有権者にとっては、SNSでの発信の「量」や「話題性」だけでなく、議会で何をしているかを見て判断することが、ますます大切になっていると言えそうです。

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※ 記事を読んだ方が自由に答える読者アンケートで、統計的な世論調査ではありません。当サイトとしての賛否を示すものでもありません。

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