両論ニュース
経済・財政

上海電力の太陽光「11か所」は本当? 青森・大阪などの所在地と外資規制の賛否

上海電力の日本法人が関わる太陽光発電所として名前が挙がるのは、大阪市南港(咲洲)、兵庫県三田市、茨城県つくば市、栃木県那須烏山市、青森県東北町などです。Xで広がる「11か所あると発覚した」という話を裏付ける資料は見つからず、簗前農相の辞任との関係も確認できません。真偽を整理したうえで、外国資本の再エネを規制すべきだという立場と、今の仕組みで対応すべきだという立場の主張をまとめました。

Read in English →

結論:広がっている話は本当?

  • 不正確「簗大臣の件で、上海電力の太陽光発電所が発覚した」簗氏が上海電力の計画を国会で取り上げたのは2014年で、今回の辞任と結びつける資料はありません
  • 確認できず「上海電力の日本法人が関わる太陽光発電所は11か所」公式サイトの一覧や報道で名前が挙がるのは5か所ほどで、11か所の裏付けは見つかっていません
  • 事実「中国資本の発電所の買い取り費用を国民が払っている」外国資本の発電所も同じ条件で買い取りの対象になり、費用の一部は再エネ賦課金でまかなわれています
丘の上から見下ろした大規模な太陽光発電所
イメージ(岡山県瀬戸内市のメガソーラー)写真:Saigen Jiro / Wikimedia Commons(CC0)
10秒でわかるこの争点の構図

外国資本の太陽光発電、法律で規制すべき?

「11か所」の裏付け(名前が挙がるのは5か所ほど)
確認できず
簗氏が上海電力を国会で取り上げた年(辞任とは別の話)
2014年
2026年度の再エネ賦課金(1キロワット時あたり・過去最高)
4.18円

規制強化派

国民が払う賦課金が外国資本にも流れる。電力は安全保障の要なので、参入そのものを厳しく制限すべき

VS

現行制度で対応派

外為法や経済安全保障の審査で対応できる。一律に締め出すと、再エネの導入やコスト低減が鈍る

どちらも認めていること
電力インフラへの外国資本の関与には、安全保障の目配りが必要
次の焦点
改正外為法にもとづく「日本版CFIUS」の運用と、2027年度からの太陽光の支援制度の見直し

この記事のポイント

  • Xで、「簗大臣の件で、上海電力の日本法人が関わる太陽光発電所が11か所あると発覚した」という投稿が1万件超のいいねを集めています。
  • 簗和生氏は2014年の衆院農林水産委員会で、地元の栃木県那須烏山市で上海電力日本が大株主の会社が太陽光発電所を計画していると指摘し、外資の参入を「大変懸念」すると述べていました。ただし、10月14日の辞任(道路予算をめぐる発言や支持者の送迎問題)と上海電力を結びつける報道や資料は見当たりません。
  • 上海電力日本が関わる発電所として公式サイトの一覧や報道で名前が挙がるのは、大阪市南港(咲洲)、兵庫県三田市、茨城県つくば市、那須烏山市、青森県東北町などです。「11か所」を裏付ける信頼できる資料は見つかっていません。
  • 外国資本の発電所も、日本の事業者と同じ条件で固定価格買い取り制度(FIT)の対象になり、買い取り費用の一部は電気を使う人が払う再エネ賦課金でまかなわれています。2026年度の賦課金は1キロワット時あたり4.18円で過去最高です。

みんなは?

読者アンケート・回答 — 件

この争点、ほかの読者はどう考えているでしょうか。記事の最後の「あなたは?」で答えると、みんなの回答の割合が見られます。

答えて結果を見る

※ 統計的な世論調査ではありません。

① 何が起きているのか

広がっている話を整理すると

広がっている話 確認できたこと
簗大臣の件で発覚した 上海電力の参入は、簗氏自身が2014年の国会で取り上げていました。今回の辞任との関係を示す資料はありません
上海電力の日本法人が関わる発電所は11か所 公式サイトの一覧や報道で名前が挙がるのは5か所ほどで、「11か所」の裏付けは見つかっていません
栃木県那珂川町に上海電力の太陽光 国会で取り上げられたのは那須烏山市の計画です
買い取り費用を国民が負担している 外資の発電所も同じ条件でFITの対象になり、費用の一部は再エネ賦課金でまかなわれています(元の投稿は「省エネ賦課金」と誤記)

あわせて話題になった静岡地裁の判決

静岡地裁は10月15日、静岡県伊東市のメガソーラー計画について、市が出した造成の変更許可を取り消しました。崖崩れや土砂流出の可能性を検討していなかったと判断しました。報道では、事業者は「市内の業者」とされ、上海電力との関係を示す情報はありません。

② それぞれの意見

各立場の主な主張を、元の発言や記事をもとに、当サイトがわかりやすくまとめています。

規制強化派の意見

  1. 外国資本が大規模に土地を取得して発電事業を行うことには懸念があり、地元の自治体との事前の協議も十分でないとして、制度の見直しを求めていました(簗和生・衆院議員、2014年の国会質問)。

  2. 大阪・咲洲のメガソーラーに上海電力が参入した経緯を問題視し、電力のような国民生活の基盤となる事業に外国企業が入ることへの対応をただしました(神谷宗幣・参院議員、2022年の質問主意書)。

  3. 外国資本の発電所にも、国民が負担する再エネ賦課金を財源とした買い取りが行われています。経済安全保障の観点から、電力インフラへの外国資本の関与を厳しく審査すべきだという主張です。政府も2026年5月、外国政府の支配下にある企業などの投資を審査対象に加える改正外為法を成立させました。

現行制度で対応派の意見

  1. 固定価格買い取り制度には、外資を特別に扱う規定はありません。政府は、電力のような重要な事業は、経済安全保障推進法の事前届け出の仕組みなどで安全を確保するとしています。

  2. 太陽光の買い取り価格が下がったのは、安い海外製パネルの採用が進んだためで、脱炭素のコスト低減やエネルギー安全保障にも役立ってきたという見方があります。政府は2027年度から地上設置の事業用太陽光をFIT・FIPの新たな対象から外す方針で、一律に締め出せば導入が鈍る恐れもあると指摘されています。

  3. 「簗氏の件で発覚」という説明は不正確で、上海電力の参入は2014年の国会ですでに議論されていました。根拠のはっきりしない数字や因果関係が広がると、冷静な議論の妨げになるという指摘もあります。

Xの発信

背景を読む:それぞれの思惑

ここからは編集部の見立て(推測)です。裏付けはありませんが、推測のもとにした事実には出典を付けています。

Xでの拡散

なぜ簗氏の辞任と上海電力が結びつけられたのか

推測簗氏が2014年に上海電力の計画を追及していたことが掘り起こされ、「外資の利権と戦ってきたから狙われた」という推測が、拡散の途中で断定に変わっていったとみられます。辞任の直接の理由は道路予算をめぐる発言や支持者の送迎問題で、上海電力との関係を示す材料はありません。

推測のもとにした事実

世の中の声

SNSの反応

規制強化寄りの声

  • 簗氏は12年前から上海電力の問題に切り込んできた。外資の太陽光への規制をきちんと議論すべきだと思う

  • 中国資本の発電所の電気を、国民が賦課金で買い支えている仕組み自体がおかしいと思う

現行制度で対応寄りの声

  • 上海電力について国会で質問したのは12年前の1回だけ。批判されているのは今回の発言の内容で、利権と戦ったから狙われたというのは無理があると思う

  • 辞任は当然だと思っている自民支持者も多いはず。陰謀論で擁護すると、かえって本来の議論がゆがむと思う

集め方:X(旧Twitter)で「上海電力 簗」「上海電力 陰謀論」で検索し、2026年10月10日〜15日の日本語投稿を確認しました。簗氏は上海電力の問題に切り込んだから狙われたとみる投稿が数万件のいいねを集める一方、根拠のない陰謀論だと批判する投稿も目立ちました
無作為に抽出したものではなく、世論を代表するものではありません。
「共感」の数は当サイト読者の反応で、世論調査ではありません。1つの声につき1回押せて、もう一度押すと取り消せます。

③ ポイント整理

意見が一致している点

  • 電力のような重要なインフラは、安全保障の観点から目配りが必要なこと
  • 根拠のはっきりしない情報は、出どころを確かめるべきこと

意見が分かれている点

  • 外国資本の再エネ事業を、法律で直接規制すべきか
  • 今ある外為法や経済安全保障推進法の審査で十分か

今後の注目点

  • 改正外為法にもとづく「日本版CFIUS」の運用
  • 2027年度以降の太陽光発電の支援制度の見直し
  • メガソーラーをめぐる各地の訴訟や規制の動き

簗氏が2014年に上海電力の計画を問題視していたのは事実ですが、今回の辞任との関係や「11か所」という数字は確認できません。電力インフラへの外国資本の関与に目配りが必要だという点では、見方は一致しています。 規制強化派は、国民の賦課金が外国資本に流れる仕組みを含め、参入そのものを厳しく制限すべきだと考えます。現行制度で対応派は、外為法や経済安全保障の審査で安全を確保し、再エネの導入やコスト低減とのバランスを取るべきだと考えています。

あなたの考えに近いのは?

ワンタップで回答できます。回答すると、ほかの読者の回答の割合が見られます。

※ 記事を読んだ方が自由に答える読者アンケートで、統計的な世論調査ではありません。当サイトとしての賛否を示すものでもありません。

この記事をシェアする

いろいろな立場の人と一緒に考えるきっかけに。